アパレル工場の生産キャパシティを素早く評価するにはどうすればよいか?婦人服工場として皆さまに申し上げることは、もし我々がブランドホルダーであるならば、サプライヤーの現場に入り、その生産状況、生産効率及び品質管理状況を理解すべきということ、また工場としても、顧客のモデル工場を訪問し精算標準化の工程を理解することで顧客に対してより良いサービスを提供すべきということです。

アパレル工場の評価をする為に重要な事として、我々が皆様に申し上げたいことは、皆様自身が現場に入って頂き、その生産状況、生産効率及び品質管理状況を理解して頂きたいという点です。

その上でお互いの意見を出し合い、相互理解を深めてゆく。そうする事がより良い商品を創造への道だと信じております。

以下にあげる内容を一例として参考にしてもらえれば評価も迅速に行なえると考えます。


一、現場視察の重要性


アパレルメーカー様は、現場視察において、工場内部の細かな状況を把握することが出き、色々な問題も根本的な原因は現場にて起きていることがわかります。限られた時間内での視察であっても、各ポイントを押さえれば、オペレーション情報を把握することが可能です。


二、生産ラインの職場の雰囲気


まず現場で工員の仕事に対する取り組み姿勢を見ることができます。士気の高い工員とたるんでいる工員は明らかに違います。工員と簡単な会話を交わす際に、工員の表情や動きから第一印象でイメージを読み取ることができます。これらは工員の感情や工場に対する満足度を直接的に反映しています。過去に視察したことがある工場では、大半のラインで音楽を流しており、それぞれの工員が競い合いながら、仕事に対する高い熱意を持っていました。このような環境下では作業効率も高く、製品の品質も信頼できます。


ライン内を歩くと不均等な作業配分や仕掛品の滞留などをチェックすることができます。例えばライン内のある組の大半の工員は忙しいにもかかわらず、一部の工員は長時間手持ち無沙汰になっている、或いはあるパートの工員が長時間原材料を待っているという状況です。このような現象は当該工場が精度の高い管理ができていないことを表しており、工員の効率意識が低く、手の空いている工員が他の工員の士気に影響を与え、全体的な作業効率が低くなり、コストは必然的に高くなってしまいます。


ラインの照度は十分か、通気性は保たれているか、ラインに異臭はないか、騒音が大きすぎないか、ラインは清潔か、などに注意を払うべきです。これらは工員の心情に直接的な影響を及ぼし、さらには生産効率や製品の品質に影響を及ぼします。現場がたるんでいて、士気が低く、工員が不満を抱き、手持ち無沙汰になっているような工場が良い製品を生産し、利益を創出するというのは極めて想像しづらいものです。


三、空間の利用とレイアウト


生産ラインは大きければ大きいほど良いと考える工場責任者もいるかもしれませんが、往々にして、利用効率が低く、設備と工程のレイアウトが分散してしまうことで、空間の無駄が生じるだけでなく、大量の原材料及び副資材を不必要に運ばねばならない、という結果になります。日本など他国の多くの工場は見た目は、さほど壮観ではなく、むしろ手狭に見えますが、空間利用率が高く、回転効率も非常に高くなっています


運搬用のツールが空間を占有するのみならず、オペレーションコストも高くなり、原材料の不必要な移動を増やすこととなります。ある顧客の工場では多くの台車がしきりに行き来していましたが、多くの不要な運搬が見受けられました。例えば、同じロットの生地をA区からB区に移動し加工した後、またA区に戻し後工程の加工を行い、その後C区に移動して処理した後、最終的にまたB区に戻す、といった具合であり、運搬にかかわる非常に大きな時間のロスが生じています。


原則として、当日の生産に使用される生地は生産ラインに沿って配置されるべきであり、いくつかの在庫エリアに分けて保管されるべきではありません。また工具類はできる限り設備の近くに配置されるべきです。工場のレイアウトは製品のスムーズな移動を確保すべきであり、パーティションなどはできる限り避けるべきです。工場において生地の運搬距離が長く、運搬の動線が重複している、或いは運搬回数が多いといった場合は、合理的なレイアウトになっておらず、空間の利用も理想的ではなく、また生産ラインを可能な限り集約することができていない、ということを示しています。

四、現場の基準化


基準は良好な状態及び統一的な実行の基となるものです。基準がなければ実行のしようがなく、改善の着眼点も存在しません。生産現場として必要な基準は多く、作業及び品質基準、6S及び安全基準、操作及び保守基準、工程及び手直し基準、安全在庫基準などが含まれます。


同じ工程において異なる社員の具体的な作業の過程を観察することを通して、動作の手順、操作の程度、漏れがあるかなど、それぞれの工員の作業に差異があるかどうかを発見することができます。差異があるということはライン工員の標準作業の研修が欠けているということであり、製品品質が不安定になる可能性が大幅に増加します。あるサプライヤーの工場を視察した際、工員によってファスナー付けの手つき、手順が異なり、参照用の標準動作の動画もなく、工員が全て自身の経験に基づいて作業している、ということがありました。このような製品は、ユーザーが使用する際にファスナーがかみ合わなくなるといった不良の発生は避けられないでしょう。


五、品質管理


現場視察の際、ラインの不良品の処理方法に注意を払う必要があります。よい工場は不良品や廃棄品を隠すのではなく、問題を目に見えるようにします。例えば、ある工程で手直しが発生した場合、よく管理できている工場は赤いラベルを使用して目立つようにします。こうすることで手直しが増えているのかどうか、或いはライン上のあるパートで不良品を生産しているのかなどを速やかに知ることができます。


六、生産現場の見える化


かんばん管理及び見える化管理は現場管理の基礎であり、生産型企業の管理レベルを視覚的に伝えるものです。管理の良い工場内では見える化ツールが随所に見られます。例えば作業場の組織と標準化、結果指標の見える化、標準作業の見える化、管理指標の見える化、不良修正の見える化、アラームシステムなどです。視察の際、様々な見える化ツールの発見に注意を払う必要があります。


見える化の管理かんばんは静態管理と動態管理のかんばんとに分けることができます。静態かんばんは主に組織の長期低下管理理念を伝達するものであり、動態かんばんは管理者が常に把握する必要のある管理情報であり、工場の管理レベルと能力をより一層反映するものです。


七、工具と設備の状態


良い工場では、設備は徹底した管理及びメンテナンスがされており、関連情報が一目でわかり安く、且つ随時更新されています。また、日常の点検表もきちんと記載されており、個々の点検表にはオペレーターが発見した潜在的なトラブルの可能性、及び設備部門のサインと対処法が明確に記載されています。これは設備管理とメンテナンスがスムーズな連携を築いていることを示しています。